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ニコンのマクロレンズ(マイクロレンズ)のF値が変化するわけ

最近Zレンズでも、やっとマイクロニッコール(通称マクロレンズ)が発売されたので、便乗で・・(以下、マクロレンズとします)

ニコンのマクロレンズは、撮影距離によってF値が変化するため、わかりにくいとか言われることも多いので、どうして変化をするのかを、個人的な理解も含めて説明したいと思います。

他社のマクロレンズも実はF値が変化する
他社のマクロレンズは、「表示上は」撮影距離によってF値が変化しませんが、実質は変化しているのです。露光値はカメラがいい感じに自動で設定してくれるため、ほとんど意識することはないのですが、マニュアルで露光値を決める際、他社のレンズの場合、「露光補正値」を考慮する必要があります

露光補正値は、「実効F値=(1+撮影倍率)×F値」

という計算で計算します。例えば、F2.8のマクロレンズで等倍(1倍)であれば、(1+1)×2.8となり、F5.6として露光量を算出していきます。

つまり、ニコンは素直に露光補正値を計算した実効F値を表示・他社はレンズスペックのまま表示という違いだけで、ニコンだけ性能が悪いというわけではありません

とこれで、説明はほぼ終わっちゃったわけですが・・

ここからは、かなりマニアックな話なので興味がある方のみ

では、なぜマクロレンズでは、撮影距離によってF値が大きく変化するのかというと

マクロレンズが撮影距離によってF値が変化する理由をレンズの公式から説明してみる

高校時代に習った、レンズの公式から、マクロレンズのF値が変化する理由が説明できます。

レンズの公式

1/焦点距離(f)=1/レンズの力点から被写体までの距離(a)+1/レンズの力点から像面までの距離(b)

と、F値の算出式

F値=焦点距離/有効口径

この二つの式を使って説明します、若干、無理やりな理解も含まれてる可能性があるのですが・・大筋ではあってると思いますので!!

まずは、遠景(無限遠)で撮影した場合をレンズの公式で計算してみる

近接のマクロ撮影を計算する前に、遠景で撮影した場合をレンズの公式を使って計算してみます。

まず前提として、1/無限=0とします。

今回は焦点距離は100mmのレンズとします。(105mmだと計算がめんどくさ・・おぃ)
レンズの有効口径は35.7mm
F値は2.8
という条件で計算します

レンズの公式に当てはめると

1/100=1/無限+1/b

1/無限=0としたので、1/100=1/b

よって、b=100

となります。

つまり、無限遠にピントを合わせた場合、レンズの焦点距離と力点から像面までの距離は、同じになります

なので、レンズに表記されている焦点距離は、無限遠にピントを合わせた時の値だとも言えそうです。

近接撮影(等倍)で計算してみる

つぎに、等倍撮影をした場合を、レンズの公式に当てはめると、次のようになります

撮影倍率はb/aで計算できるので、b/a=1 とすれば、等倍ですから、aとbは同じ値になりますなので

1/100=1/200+1/200

b=200となります。
レンズの力点からセンサー面までの距離(b)は、無限遠にピントを合わせた2倍もの長さになることがわかります

やや強引な解釈かもしれませんが・・
レンズの力点からセンサー面までの距離が、実質的な焦点距離だと仮定します。
つまり、F値の算出計算を

F値=焦点距離/有効口径 ではなく
F値=力点から像面までの距離(b)/有効口径 だと捉えます

レンズの有効口径は、35.7mmで、撮影距離によってレンズが太くなったり、細くなったりはしませんから、35.7mmは固定です。

そして、力点から像面までの距離は、撮影距離によって変化するのは、上の計算で、無限遠のときと、等倍の時では2倍も変化することが式からわかるので、変化します。

なので

無限遠のときは

F=100/35.7=2.8

で、実効F値 2.8

等倍の時は

F=200/35.7=5.6

で、実効F値 5.6

と一般的に使われる、露光補正値 実効F=(1+撮影倍率)×F値 と同じ値を示しています。

なので、マクロ撮影時は大きく前にレンズを繰り出す関係上、実質的な焦点距離が伸びるために、F値が大きく変化する

というのが、途中、やや強引な解釈も含みますが、式から読み解けたF値が変化する理由となります

本当に、bを焦点距離として扱っていいのかは、正直なところわからないので、正確性には欠けますが・・計算結果が同じ値を示していますし、他のサイト様でも、レンズが大きく繰出されるためという説明なので、大筋ではこの解釈で問題なのかなと思います。

ただ、本当に問題ないなら F=b/有効口径 とされていいはずなのですが、F=f/有効口径とされているので、厳密には何か間違いがあるのかも・・しれませんが・・

上記の内容を動画にもしてみました
ところで・・動画を作った後に気が付いたこと

実は、動画を作った後にやっと気が付いたことが

一般的に使われているマクロ撮影の露出補正値式

実効F値=(1+撮影倍率)×F値

ですが、これってハーフマクロの時はどうなんだろうと、レンズの公式をごにょごにょしてる最中に出てきていたことに、今更になって気が付きました。

撮影倍率=レンズの力点からセンサー面までの距離(b)/レンズの力点から被写体までの距離(a)

で、計算されます、なので・・撮影倍率0.5倍のハーフマクロの場合、「b/a=0.5」だということになります。

ハーフマクロ(0.5倍)の時のaとbは・・1/f=1/a+1/b かつ b/a=0.5(撮影倍率) ということになります、なので、答えが確定してる b/aを式の中に作りたくて、両辺にbをかけてたのです

b/f=b/a+b/b となり、b/bは、どうあがいても1、b/aは撮影倍率なので

b/f=撮影倍率+1、よってb=(撮影倍率+1)×f・・・

ん・・あれ、何かに似てる・・実効F値=(1+撮影倍率)×F値・・ほとんど同じだと気が付くという><

F値=焦点距離(f)/有効口径だったので、両辺とも有効口径で割ると・・
b/有効口径=(撮影倍率+1)×f/有効口径なので

b/有効口径=(撮影倍率+1)×F値=実効F値

そりゃ、いくら数値かえて検証しても、同じ値になりますよね・・今考えると気が付くの遅すぎました・・

ただ、これが成り立つということは、レンズの公式のbの値、レンズの力点からセンサー面までの距離を実質的な焦点距離として捉えるというのは、別に強引な理解ではなかったのと少し自信を持って言えそうです

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