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iPhoneXSのポートレートモードの違和感

iPhoneXSでは、iPhoneXやiPhone8Plusのポートレートモードに加え、ボケの大きさを変えることができる点が新機能として追加されていました。

いくつかのレビューサイトなどでも、絶賛されていて確かにあとからボケの大きさが変わるのはすごいと感じたのですが、そのサンプル画像をみると、Xや8Plus、そしてXSの標準時の描写にはあまり感じなかった違和感をボケの大きさを変えたXSでは感じるのです。

おそらくその違和感の原因はボケの大きさと被写界深度のバランスが崩れてしまったためだと思っています。ボケの大きさを変えられる機能は時期早々だったのかもというのが、レビューを見た限りの私の感想です。

被写界深度が浅いのに深い?不思議な描写

まずは、ボケが小さい標準状態でレンズとポートレートモードの違いを図にすると以下のようになります。図は上から見た図で白い部分がくっきり映る部分、青が濃くなるほどボケが大きくなることを示しています。*絵はいらすと屋さんから借りました

レンズで小さめにぼかした場合
人物は白いところ、シャープに映る範囲に全部入っています。人物は全体的にくっきり写り、背景と前景は少しボケるというのがレンズでの描写になります。
ポートレートモード・デフォルト(Xや8Plusと同等)
ポートレートモードの場合、徐々にボケが大きくなるのではなくぼかすところは一気にぼかす感じになりますが、ボケの大きさが小さいためさほど気にならず、人物がすべてくっきり写るのも自然なので、前ボケを入れなければ違和感はほとんど感じない描写です。

ですが、ここで新機能を使いボケを大きくするとこうなってしまうのです。

レンズで大きくぼかした場合
被写界深度が浅くなっているので、背景が大きくボケます。そのためくっきり写る範囲は狭く耳や肩や後ろ髪といった部分はボケ始めていくのが自然な描写で、カメラに対し斜めに立っていたりすると、手前側の肩も前ボケとしてボケるのが自然です。
ポートレートモード・F1.4設定(ボケを大きくした場合)
人物は全体的にくっきり写り、背景だけが突然大きくボケるという描写になります。背景が大きくボケる場合、被写界深度は浅いので耳や肩もぼけ始めているという実際の描写と人物の写り方にずれが生じてしまいます。

また、これだけ被写界深度が浅いと人物内でも目より手前の部分もボケ始めますが、ポートレートモードは前ボケは処理されないのでそこもくっきり写ります

そのため、このように感じてしまうのです。

レンズでポートレートモード・F1.4の描写に近い写り方をするとしたら
薄い被写界深度内に全身がすべて収まっている状態、つまりぺしゃんこにつぶれている状態なら全身くっきりで背景が大きくボケるわけですが、でも実際にそんなはずはないので、違和感を感じたわけです。

ぼかす範囲を変えず、徐々に変化する部分もない状態でぼけの大きさだけを変化させてしまったために、背景ボケの大きさとくっきり写る被写界深度のバランスが崩れてしまったという最初の感想になりました。

逆にデフォルトの状態は考え抜かれたバランス調整という認識です。

ボケの大きさを変化させても自然に見せるには、より細かく距離変化をデータ化したうえで、ボケの大きさを距離に応じて変化させられればならないと感じます。それは不可能ではないとも思うので、今後の進化に期待しています。

やっぱり、ぼかしは楽しいですから、だれでも手軽に楽しめるようになるといいですよね

あと、ぜいたくを言えば、もっと近くでも使えないかなぁ・・というのも個人的な希望です

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