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最近発表された、ニコンのAPS-Cの最新機種D500とフルサイズのD750
価格帯としてはほぼ同等ぐらいですが、この二機種は、ニコンAPS-Cサイズ(DXフォーマット)のフラグシップモデルとニコンフルサイズ(FXフォーマット)のミドルレンジとクラス的には2クラス異なるため、迷う方も多いと思います。
そこでこの二機種について調べてみました。
先に結論を書くと、この二機種は全く性格が異なるため、何をメインに据えるかで、どちらを選ぶほうがいいかが決まってきます。(現在価格がわかりやすいようにアマゾンのリンクを張っておきます)
D500が向いてる分野 |
・運動会の撮影
・スポーツ撮影 ・野鳥の撮影 ・所有欲を満たす高級感 |
D4に匹敵する高速連写とD5に匹敵する高速なAFをもっているため、動きの大きなもの撮影が得意なので、これらの撮影をメインに考えてる方はD500がおすすめになります、またDXゆえに望遠の撮影に強いので、この分野の撮影をメインに考えておられるなら、D500がよいと思います。 DXフォーマットのフラグシップだけあり、物としての魅力は高く、満足度を得られます。 また、運動会にはD500はオーバースペックではと思われる方もおられると思いますが、D500の高いスポーツ撮影能力はある意味一生に一度のイベントの撮影成功率を大きく引き上げてくれるという意味で投資の価値が高いと思ったため、別枠で書きました |
おすすめのレンズ
運動会 ・AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR 運動会では、超望遠までは不要ですが、ある程度の望遠レンズを用意したいところです。せっかくのフラグシップモデルなので、それにふさわしい高級レンズかつ大きすぎず比較的取り回しのしやすい、このレンズがおすすめです。 スポーツ、野鳥 ・AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR この分野では、このレンズがよいと思います。500mmという超望遠であるにもかかわらず、20万を切る価格でアマチュアでも手が出せる価格である点もポイントが高い、またズームなので、画角の調整がしやすいのもいいところです 所有欲を満たす高級感 ・AF-S DX Zoom-Nikkor 17-55mm f/2.8G IF-ED セット販売モデルもある16-80mm f/2.8-4 は、D500とピッタリ合うとレンズですが、あえて17-55mm f/2.8Gをおすすめします。このレンズはフラグシップにふさわしい高級標準ズームなので、所有欲を満たすという面ではこちらの方が上だと思います。 |
D750が向いてる分野 |
・風景の撮影
・ポートレートの撮影 ・室内撮影 ・フルサイズのもつ高画質に惹かれる方 |
FXフォーマットのもつ、画質の高さや広角レンズの充実度、大きな背景ボケを得られやすいのもの35mmフルサイズフォーマットの特徴です、またポートレートでは扱いやすいとされる50mm〜85mmの画角で大きなぼけが得られるのでポートレートを撮りたい方はフルサイズがよいかもしれません。 D500に対するD750の魅力は、なんといってもフルサイズのもつ画質なので、画質に魅力を感じる方はD750を選択したほうが、満足度は高いと思います。 |
おすすめのレンズ
風景 ・AF-S Nikkor 18-35mm f/3.5-4.5G ED これよりも広角のレンズもありますが、広角ズームレンズとしては手を出しやすい価格で、かなりの広角までカバーしているのでおすすめです。 ポートレート ・AF-S Nikkor 85mm f/1.8G 正直言えば、この領域はAF-S Nikkor 85mm f/1.4G・AF-S Nikkor 58mm F1.4G・AF-S Nikkor 50mm f/1.4G・AF-S Nikkor 50mm f/1.8Gといった非常に良いレンズがそろっているので、どのレンズをおすすめに持ってくるか悩みましたが、ポートレートレンズとして扱いやすい85mmでかつコストパフォーマンスに優れたこのレンズをおすすめにしました。 室内 ・SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD 室内はどうしても光量が不足気味にになりやすく、いくら高感度に強くなったとは言えレンズも明るいほうが有利です。とはいえ純正のF2.8クラスのレンズとなると20万を超えてしまいなかなか手を出しにくいと言うこともあり、このレンズをおすすめします。 |
D500 | D750 | |
センサーサイズ | APS-C 23.5×15.7mm |
フルサイズ 35.9×24.0mm |
画素数 | 2088万画素 | 2432万画素 |
視野率 | 約100% | 約100% |
ファインダー倍率 | 35mm換算0.67倍 (1倍) |
35mm換算0.7倍 (0.7倍) |
シャッタースピード | 1/8000〜30秒 Bulb Time X250 |
1/4000〜30秒 Bulb Time X200 |
連続撮影速度 | 約10コマ/秒 | 約6.5コマ/秒 |
測光方式 | 180KピクセルRGBセンサー によるTTL開放測光方式 |
91KピクセルRGBセンサー によるTTL開放測光方式 |
測光範囲 | -3〜20EV | 0〜20EV |
ISO感度 | 常用感度ISO 100〜51200 拡張感度:ISO 1640000相当 |
常用感度ISO 100〜12800 拡張感度:ISO 51200相当 |
オートフォーカス | TTL位相差検出方式: フォーカスポイント153点 (選択可能55点) ・クロスタイプセンサー99点 (選択可能35点) ・f/8対応15点 (選択可能9点) |
TTL位相差検出方式: フォーカスポイント51点 うち、15点はクロスタイプセンサー 11点はF8対応 |
AF検出範囲 | -4〜+20EV(ISO 100) | -3〜+19EV(ISO100) |
スペック的に上回ってる部分を太文字にしてあります。
センサーサイズと画素数の2点は、画質に直結しやすい部分で、この2点に関してはD750が上回っています、たいして測光範囲、オートフォーカスといった撮影対応力ではD500が上回っているのがわかります。ここはさすがにD5譲りのセンサーを搭載しただけのことはあります。
測光範囲の小さい方の数値(-3や0)が小さい方がより暗い環境でもより正確に測光可能だと言うことを示しています。検出範囲も同じく小さい方がより暗い場所でAFが可能だと言うことになります。
35mm換算ファインダー倍率とは
こちらのスペック表を見て、あれ?1倍のD500より倍率の低い0.7倍のD750のほうが太文字なのはなぜ?と思われる方もおられると思います。
ファインダー倍率とは、センサーサイズに対してファインダーの大きさが何倍かを示しています。0.7倍のフルサイズ機であれば、35.9×0.7・24.0×0.7でファインダーの大きさは25.1×16.8mmのファインダー像ということになります。1倍のAPS-C機であれば、23.5mm×1・15.7×1となるので、23.5×15.7mmのファインダー像となり、計算してみると0.7倍のフルサイズのほうが、1倍のAPS-Cのファインダー像より大きいことがわかります
これだと、ぱっと見ての比較が面倒なため、ここのスペック表ではD500がフルサイズであれば、何倍のファインダー像かを計算した値を35mm換算ファインダー倍率として書きました。
クロスタイプセンサーとは
オートフォーカスのスペック表にクロスタイプセンサーという言葉があります、クロスタイプセンサーとは、簡単に言えば被写体の横の線と縦の線どちらの線でもピントをあわせることが出来る高精度なAFセンサーだと思ってください、これが多いほど精度の高いセンサーを多く詰んでいると言えます。
F8対応とは
F8対応というのは開放F値が8というような暗いレンズ、例えば400mmF4に2倍テレコン(F値が2段下がる)をつなげた場合、800mmF8という言うようなレンズとなります、こういったレンズでもAFができるセンサーを積んでいますよと言うことになります。また、センサーの精度も高い物が使われています。
ちなみに、難しい話は端折りますが、そのAFセンサーでAF可能かどうかはレンズの口径に依存するため、F5.6やF2.8のレンズにNDフィルターを使ってF8相当にした場合は、F8対応のセンサーでなくともAF可能です。詳しくはこちらに書きました。
常用感度と拡張感度
D500の拡張感度ISO1640000(164万)と言う数字はものすごく目を引きます。それこそ桁を一桁間違えてるのかと言うぐらいの感度ですが、拡張感度だと言う点には注意が必要です。
常用感度とは?
拡張感度を説明する前に、常用感度についても説明が必要かもしれません、常用感度は2種類意味があり、1つは撮影者がこの画質なら使えると思う範囲という撮影者が決めるのも常用感度と言われますが、今回はもう一つの方の意味でメーカーがこの機種で期待されるであろう画質が担保できると考えてる感度も常用感度と言われます。つまりニコンが考えるD500で期待される画質で撮影出来るのはISO51200までだと言うことです。
拡張感度とは?
ISO164万といったとんでもない感度ですが、これはぶっちゃけて言えば、設定はできるけど、画質は酷いよ!とてもD500にふさわしい画質ではないとはっきりと言っていると思って間違いありません。設定だけはできるよと言うようなもので実質ないものとして考えてよいでしょう(D500のISO168万の画像見ましたが、写ってると言っていいレベルなのかすら怪しいものでした・・)
D500は、スポーツや野鳥などに特化されたカメラという性格を帯びています。連写速度も秒間10コマとD一桁に肉薄する連写速度を誇っている点、高精度で高速なAFが可能になるAFセンサー、有効口径がF8になる可能性も高いテレコンを差し込んだ超望遠にも対応するAFポイントが多さなどがその性格の現れと言えます。
さらに発売時期が、オリンピックと重なってる点からもメインターゲットはオリンピックでの撮影と言っても過言ではないモデルです。
また、APS-Cは画角が狭くなるため望遠に強くなる点でも、近寄りにくいスポーツや野鳥に向いているので、まさにそのための機種と言っても過言ではないのです
上の方にも書きましたが、パパママカメラとしてもD500は選択肢として入れてよいと考えています。理由として、顔認識AFも搭載されているため撮影もしやすく、運動会撮影の成功率を大きく引き上げてくれるます、またAFセンサーも高性能なため若干照明が落されてるようなシーンでも素早いピント合わせができるのも学校行事向きと言えます。
D750の性格は、ほとんどの撮影をそつなくこなせるオールラウンダーと言ったところですが、フルサイズの持つ画質や被写界深度の浅さがD500と比べると大きな武器になります。
風景は、緻密な描写が欲しいシーンが増えてきます。その点で無理のない画素ピッチを保ちつつ画素数の多くできるフルサイズは有利と言えますし、単純に画素数だけ見ても400万画素分D750の方が有利です、またセンサーサイズが大きいためレンズに求められる解像力にも余裕が生まれるため、フルサイズのメリットが大きい分野と言えます。
ポートレートは、背景をふわっと大きくぼかして撮影したいということがよくあります。もちろんAPS-Cでも十分大きなぼけは得られます、しかしD750などフルサイズは85mmのポートレートレンズがそのままの画角で使えるというメリットがあります。フルサイズにおける85mmは大きなぼけが得られるだけでなく、モデルと撮影者がほどよい距離で撮影出来るのが利点で、画角とぼけの適度なバランスを持っているレンズがあるというのはポートレートにおけるフルサイズのメリットといえます。
高感度については、D500は高感度画質を大きく引き上げてきた機種ではありますが、高感度の画質という面ではフルサイズのD750の方が上です。この点については客観的データとしてDxOのスコアを後ほど書きます。
画質を重視するのであれば、D750
動体撮影能力を重視するのであれば、D500、メインで撮りたい物で選ぶといいかと思います。
できれば、実際の写真を見て判断した方がよいのですが、どうしても個人的な感覚とかそういう部分がでてきてしまうので、客観的なデータとしてはDxOMarkのスコアを用います。
DxOMarkのスコア値をみると、D500はかなり高感度でも画質がよいと言われてはいますが、フルサイズであるD750と比べると差ははっきりとあると言えます。
とはいえ、私が見た感じだとD500の高感度の画質ならば、ISO3200でも十分使えるレベルに達してる感じましたので、画質についても数値だけで判断せずに、自分の目で写真を確認して納得されることをおすすめします。
D500とD750の各項目のスコア値については長くなりすぎるので別のページにまとめました。またおまけとしてD7200のスコア値も含めてあります。
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